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●市民による「遺伝子組み換えでない」表示市場調査
(たねと食とひと@フォーラム事務局長 西分千秋)

【まもなく発売】季刊『社会運動』2025年4月発行【 458号】特集:食の自治の可能性を拓く 瀬戸際にある飼料とNON-GMO

遺伝子組み換え表示制度は、消費者が食品を購入する際、遺伝子組み換えされた農産物が使われているか否かがわかるようにする表示のことです。

 しかし、現行の遺伝子組み換え表示制度(表1)では、義務表示の対象が9農産物及び33加工食品群と限定的になっています。遺伝子組み換え農産物及びそれに由来する原材料から製造されていても、加工される過程でタンパク質や組み換えDNAの成分が除かれてしまう食用油や醤油などの加工食品及び畜産飼料などは、義務表示の対象となっていません。そのため、消費者が遺伝子組み換え食品は食べたくないと考えても、「遺伝子組み換え」という表示がないため判断することができません。

 この制度は2001年から始まり、現在は2013年6月に成立した食品表示法で規定されています。食品表示法の検討時に、加工食品の原料原産地表示、遺伝子組み換え表示、食品添加物表示については別途検討すべき事項と位置付けられ、同法の付帯決議に反映されたことは市民運動の成果でした。やっと改正に向けた議論の場ができると期待しました。

 法制定後、遺伝子組み換え表示制度に関する検討会が2017年4月~18年3月まで開催され、2019年4月に遺伝子組換え表示制度に関する食品表示基準の一部を改正する内閣府令が公布されました。事業者等の切り替えのための猶予期間などを経て、2023年4月の新たな表示制度施行となりました。ところが、新たな制度では問題のある義務表示については改正されず、任意表示についてのみ厳格化されたのです。

新たな遺伝子組み換え表示制度


 新たな遺伝子組み換え表示制度では、大豆・トウモロコシを原料とする加工食品の任意表示について、国によって定められた公定法検査により遺伝子組み換えの混入がない(不検出)と確認された原料に限って、「遺伝子組み換えでない」と表示ができると変更されました。意図せざる混入率が5%以下の場合に「遺伝子組み換えでない」と従来表示できていたものが、「分別生産流通管理済み」などに変更され、よりわかりにくい表示になりました。

 分別生産流通管理(IPハンドリング)とは、遺伝子組み換え農産物と非遺伝子組み換え農産物を生産流通及び加工の各段階で分別管理し、書類により証明されることです。

 大豆及びトウモロコシについては、分別生産流通が適切に行われていても、遺伝子組み換え農産物の一定の混入は避けられないため、5%以下の意図せざる混入が認められます。

(抜粋)

季刊『社会運動』2025年4月発行【458号】の中面。「市民による『遺伝子組み換えでない』表示市場調査」。西分千秋氏の写真と記事タイトル。

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