●国産原料のトマトケチャップを作り続けたい
コーミ株式会社 代表取締役社長 川澄亮太
国産の優れた食材と人の手が作るおいしさ
生活クラブのトマトケチャップの最大の特徴は、主原料として希少な国産トマトピューレを使っていることだ。
「わが社も含め国内メーカーのトマトジュースやトマトケチャップの約97パーセントは、海外産のトマトペーストを使っています。トマトペーストは加工用の生トマトを6倍濃縮したもので、その加工段階でトマト本来の風味がある程度飛んでしまいますし、トマトケチャップを製造する際に水を加え希釈するため、酢、砂糖、塩、香辛料、玉ねぎといった副原料でトマトケチャップの味を“作っている”イメージです。─私の主観ですが。
一方、トマトピューレは加工用の生トマトを3倍濃縮したものなので、トマトの風味がしっかりと生きています。そのため余分な調味料に頼らずとも、自然な旨み、甘み、コクのあるケチャップができるというわけです。また、トマトピューレを使用することで、製造時に水を一切加えずにトマトケチャップを作ることができます。
もう一つの特徴は製法です。釜で炊き上げ、均質化(ホモゲナイズ)を控えめにしているので、均質化によりやや単調な口当たりになりがちな一般のケチャップに比べると、果肉感・フレッシュ感があります」
こうした製造工程を実現するには、通常のトマトケチャップより多くの人手が必要になると川澄さんは力を込める。
「例えば、輸入トマトペーストは230キログラムのドラム缶入りで、それをドラム缶反転機でザパーっと反転させ一気に入れていくんですね。一方、国産トマトピューレは18リットルの缶入りなので、それを一つひとつ開缶・計量し、投入後はそれだけの缶を洗って処理しなければなりません。
また、生活クラブのトマトケチャップは上白糖を使っており、液糖なら計量・投入は機械操作で可能なところを、人力で行っています。
さらに、リユースびんを使用するため、製造工程内にびんの状態を目視する人員を配置しています。もちろん一定の検品を経て納品されるびんですが、だからといって、そのまま確認せず使っていいということにはなりません。繰り返し使っている間に見えないヒビなどが入っている可能性もあり、熱いケチャップを充填したときや、ちょっとぶつかった拍子に割れてしまうこともあります。そうなると一旦ラインを止め、ガラス片の混入を防ぐために前後何十本かを取り出さなければならなくなる。経済的なロスも出てしまうので、びんの点検は非常に神経を使う作業なのです」
(抜粋)
