株式会社異路(IRO)代表取締役 上前万由子 青年希望ファクトリー社会的協同組合
「韓国の国土を100坪とすればソウルはわずか0・6坪に過ぎない。残り99・4坪の美しい土地で、青年が自立して生きていくことはできないのだろうか」─。ソウル超一極集中社会である韓国でも、そんな思いを持ち、「地域」の可能性を信じて「暮らしたい場所で、やりたい仕事ができる社会」を目指し、多様な活動に取り組む青年たちがいる。今回は、「青年希望ファクトリー社会的協同組合」の2代・3代理事長である姜基勳さんから、その理念や活動内容、そして未来への展望についてお話を伺った。
青年と希望を設計する場所
―青年希望ファクトリー社会的協同組合について、具体的にどのような活動をされているのか教えてください。
私たちの社会的協同組合は、世宗地域にいる青年事業者で構成されています。2017年の創立以降、世宗市鳥致院という地域にて、共同施設「ネストビルディング」を拠点に、公論場(後述)の運営、コミュニティの構築、共同販路の開拓やフェスティバルの運営、地域課題の解決など「マウル(村)(注)共同体基盤の地域づくりモデル」の構築に取り組んできました。
組合員たちは経済的に特別裕福というわけではありませんが、地域で自分なりの生活や事業を営む青年たちです。自分たちの暮らす地域をもっと住みやすい環境にしていこうという思いで集まっています。
組合員は現在43名で、うち2名が職員を兼務、41名が月会費を払う組合員です。そのほか、定期的に寄付をするサポーター会員47名います。業種はF&B(Food & Beverage)、文化コンテンツ、科学技術など多様で、世宗市鳥致院地域の出身が17名、残りは他地域出身です。
(注)マウル:自治的で自律的な地域コミュニティを指す。住民が主体的に地域活動を行い、様々な課題を解決しようとする試み。
―「青年希望ファクトリー」はとてもエネルギーに溢れるような名前ですが、どのような意味が込められているのでしょうか。
名前の通り、青年と希望を設計する場所です。青年たちが主軸となって地域社会の方々と一緒に、その地域の希望を設計して作り上げていこうという趣旨で作ることになりました。
その背景には、韓国社会が生まれてから成人になるまでの人生周期が、工場で商品を作り出すようにとても画一的だという問題があります。その中で葛藤や悩みを抱えていた青年たちが、「人をこのように工場のように作り出すのではなく、私たちが希望を作り出す、別の場を作ってみよう」という発想から始まりました。
(抜粋)
