●現代日本社会において協同組合が果たすべき役割とは
一般社団法人国際人権啓発センター代表理事 高崎真一
1.はじめに
協同組合(Cooperatives)は、経済活動において社会的連帯と持続可能性を重視するモデルとして、世界中で注目されています。特に、2015年に国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」の中で、協同組合は重要なステークホルダーと位置づけられました。
さらに、2019年の日本政府の「SDGs実施指針改定版」や2025年の「『国際協同組合年』に向けた衆参両院決議」など、国内においてもその重要性が強調されています。
本稿では、これらの事例から読み取るべき、協同組合が現代日本社会において果たすべき具体的役割について明らかにします。
2.2015年国連「持続可能な開発目標(SDGs)」における協同組合の位置づけ
2015年に国連が採択した持続可能な開発目標(SDGs)は、2030年までに地球規模の社会的、経済的、環境的課題を解決するための17の目標を掲げています。この中で、協同組合は重要な経済主体として位置づけられ、特に「目標8:すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する」や「目標10:人や国の不平等をなくそう」に関連する形で、重要な役割を果たす存在とされました。
これにより、協同組合は、単なる利益追求を超えて、社会全体の福祉や環境への配慮、労働者の権利擁護に貢献する、SDGs達成のための重要な担い手として認識されることになりました。この認知は、協同組合が社会的責任を果たしながらも、経済的な発展を促進できる組織であるという点に基づいています。この協同組合が持つ「経済的発展に寄与」と「社会課題解決に貢献」という二面両立性こそが、協同組合を特徴づける最大のポイントです。
(抜粋)
