希望土の村社会的協同組合
株式会社異路(IRO)代表取締役 上前万由子 希望土の村社会的協同組合
都市農業と聞くと、どのようなイメージを抱くだろうか。趣味での週末農場や子どもたちの体験学習といったところだろうか。今回紹介するのは、韓国第4の都市である大邱市で都市農業を通じた青年農業人材育成に取り組む「希望土の村社会的協同組合」だ。希望土の村社会的協同組合は、営利企業として14年間活動を続ける中で、5年前に非営利の社会的協同組合を新たに設立した。
14人の組合員が韓国では珍しい農業分野での青年支援を専門に、地域に根ざした活動を続けている。今回は、希望土の村社会的協同組合の康永洙理事から、理念や活動内容、そして未来への展望を伺った。
営利企業が作った非営利の社会的協同組合
―希望土の村社会的協同組合の設立経緯を教えてください。
希望土の村社会的協同組合(以下:希望土)は、法人として設立されてから約5年になります。元々私たちは「希望土」という会社を14年前から経営していました。
営利会社があるのに、わざわざ非営利の協同組合を新たに作ったのには、理由があります。私たちの活動を継続するには、まず経済的に持続可能でなければなりません。スタッフの給料も支払わなければならないし、事業を運営するための資金も必要です。そのため営利会社で収益を上げることから始めました。
14年間営利事業を続けてきて、今度は本当にやりたかった社会的な活動─つまり青年農業人材育成のような公益的な事業に専念できる非営利組織を作ろうと考えました。現在は、営利企業が収益を上げて、非営利の希望土の村社会的協同組合の活動を財政的にサポートするという構造で運営しています。最初からこのような戦略を立てていたわけではなく、活動を続けていく中で自然とこの形になりました。
私たちは韓国の農林畜産食品部の正式認可を受けた社会的協同組合です(注1)。都市農業を通じた青年農業人育成という目的を持って活動しています。また、韓国国内には、青年の住居や労働など、青年に関する多様な非営利団体がありますが、農業分野×青年に特化した団体は、私たちの社会的協同組合が唯一だと言えます。
注1 社会的協同組合は一般的に企画財政部(部は日本の省に相当)の認可を受けるが、社会的協同組合の事業分野などを考慮して、企画財政部以外の中央行政機関が認可業務を行うことがある。
(抜粋)