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いよいよ国会提出へ 社会連帯経済基本法案
崔珉竟(京畿道議会政策支援官)

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大統領引継ぎ委員会なしで発足した李在明政府は2025年6月16日、国政運営のビジョンと戦略を策定するために、国政企画委員会を設置した。8月13日には「100大国政課題」が発表されたが、そのなかで社会連帯経済の推進が81番目の国政課題として位置づけられたのである。尹錫悦前政権の下で3年間停滞していた社会連帯経済のエコシステムを迅速に復元して、今後5年間の持続可能な成長基盤をつくることを目標としたものだった。

【100大国政課題─連帯経済の政策目標】


・包括的成長および地域経済循環の促進:社会連帯経済は、地域社会の経済的活力を高め、所得が地域内で好循環する構造を創出する。

・中央と地域自治体、市民社会間の協力を強化:政府と地方自治体、そして社会連帯経済の主体間の緊密な協力ネットワークを構築する。

・社会連帯経済組織への円滑な資金供給:社会的金融を活性化させ、連帯経済組織が成長するための資金調達を支援する。

・社会連帯経済組織の競争力を拡充:連帯経済組織が市場で競争力が持てるよう、支援プログラムを強化する。

 これらの達成には、「社会連帯経済基本法」制定など法的基盤を整備することなども含まれる。

SSE KOREAが国政企画委員会へ提案


 これに先立ち、韓国社会連帯経済(SSE KOREA)は7月23日に、国政企画委員会に対して省庁別に課題を整理した「社会連帯経済活性化のための政策課題」を提出。社会連帯経済は社会的価値と経済効率性を同時に追求し、多様な社会問題を解決する効果的な経済モデルであると強調したのだった。

●大統領室および国務総理室

・社会連帯経済秘書官職の復活:社会連帯経済政策推進の司令塔の役割を果たし、各省庁と地方自治体、市民社会間の緊密な協力を調整するために、大統領室内に社会連帯経済秘書官職を復活させることを提案する。これは社会連帯経済の活性化を100大国政課題の一つとして採択し、実行するうえで中心的な役割を果たすだろう。

・官民統合総合支援システムの構築:中央政府と地方自治体、社会連帯経済の現場とのコミュニケーションと協力を強化する統合支援システムを構築し、社会連帯経済エコシステムの構築に貢献する。

●企画財政部および金融委員会

・社会的金融の活性化:連帯経済組織が安定的に資金を調達できるよう、社会的金融を積極的に活性化する必要がある。このため、社会的金融の専門組織を設立し、多様な金融商品を開発して資金供給を円滑にすることが必要である。

・社会的価値連帯投資マザーファンドの造成:社会的価値を創出する企業や組織への投資を促すために、「社会価値連帯投資マザーファンド」を造成し、社会的経済組織の革新成長事業を支援する。

・制度的基盤の整備:社会連帯経済関連制度の不備を補完し、協同組合基本法など関連法規の一部改正を推進して、社会連帯経済活動を支える制度的基盤を強化する。

●国会及び関連省庁(法務部など)

・社会連帯経済基本法の制定:社会連帯経済活性化の根幹となる「社会連帯経済基本法」を制定し、その法的地位と役割を明確にし、体系的な支援政策の基盤を整備する。2025年下半期中の法案発議を目指す。

・住民主導の再生可能エネルギー協同組合法の制定:気候危機への対応とエネルギー転換という、時代の課題に対応し、住民主導型の再生可能エネルギー事業を活性化するための法的根拠を整備する。

●中小ベンチャー企業部

・社会連帯組織の成長支援:社会的企業、協同組合、マウル企業、自活企業など、社会連帯経済組織が持続的に成長できるよう、成長段階別のオーダーメイド型支援プログラムを提供する。

・業種別連合会の創業を支援:連帯経済組織の専門性と自生力を高めるために、業種別連合会を中心とした専門的な総合支援を強化する。

・社会連帯経済革新成長事業:社会連帯経済が新しい市場を開拓し、競争力を確保できるよう、革新的なアイデアを発掘し支援する事業を推進する。

●保健福祉部および国土交通部

・社会的ケアの拡大:社会連帯経済組織を通じて住居、医療、家事など多様な分野で社会的ケアサービスを拡大し、地域社会の問題を解決し、ケアの死角地帯を解消する。

・社会住宅活性化方案の整備:住まいの脆弱層が安定して居住できる社会住宅事業を活性化するための多様な政策的・制度的支援策を整備する。

●産業通商資源部および行政安全部

・住民参加型エネルギー転換および特区事業:住民が直接参加する再生可能エネルギー転換事業を推進し、社会連帯経済が主導するエネルギー/ケア特区事業を通じて、地域循環経済を実現する。

・公共部門の社会的価値実践拡大および販路支援:公共機関が社会的価値を主軸に責任調達を強化し、社会連帯経済組織の生産品およびサービスに対する販路を拡大する。

社会連帯経済基本法案が発議


 このように市民社会、政府、国会が情勢を大きく動かし、8月27日には3人の国会議員により、三つの「社会連帯経済基本法案」がそれぞれ発議された。

 共に民主党の卜箕旺議員が代表発議した法案は、社会構成員の連帯と協力を基盤に、共同体の共通利益と社会的価値の実現を目指す経済活動を法的に位置づけ、関連政策を統合的かつ効率的に推進するための制度的基盤を整えることを目的としている。法案の主な内容を記そう。

●目的と定義:この法律は「社会連帯経済」を、社会構成員の連帯と協力を通じて共同利益と社会的価値を実現するために社会連帯経済組織が行うすべての経済活動として定義し、政策を総合的に推進するための枠組みを定めている。

●基本原則

・共同体構成員の共同利益と社会的価値を優先する。

・自律的かつ独立的に運営されること。

・民主的で開かれた運営構造を持ち、多様な利害関係者の参加を促進する。

・利潤は社会的価値の実現のために優先的に活用される。

・相互扶助と協力を基盤に、地域共同体の発展および地域循環経済の形成に寄与する。

●ガバナンスと計画体制

・5年単位で「社会連帯経済発展基本計画」を策定。

・中央政府および地方自治体が毎年施行計画を立て、実施成果を評価する。

・大統領直属の「社会連帯経済委員会」を設置し、広域・基礎自治体ごとに「地域社会連帯経済委員会」を置く。

●組織と機関の設置:「韓国社会連帯経済院(仮称)」の設立条項を含む。

●制度的支援措置

・社会連帯金融の制度化:社会連帯経済組織に対する投資・融資・保証・寄付などの金融支援活動を定義。

・公共機関が社会連帯経済企業の製品やサービスを一定比率以上購入するよう義務づけ、税制優遇を行う条項を含む。

●現場重視の観点:地域・業種・部門ごとの社会連帯経済連合組織の設立と、組織の自律性・独立性の確保を通じて現場の力量強化を重視する。

この法案は同日、国会の所管常任委員会である企画財政委員会に付託され、62名の議員が共同発議者となった。法案の制定を推進するため、翌8月28日には「社会的経済立法推進団」が発足し、「社会連帯経済全国会議」も出帆した。今後は、常任委員会での審査を経て、条文の詳細調整や施行令の制定が進められる予定である。

行政安全部が社会連帯経済 主務官庁に指定


 社会連帯経済政策の立案と執行を担当する主務官庁として、行政安全部(日本の総務省に相当)が指定された。経緯はこうだ。9月16日の第42回国務会議では「社会連帯経済の制度的活性化」が議題として取り上げられ、続く9月29日の第25回社会的経済政策フォーラムで、行政安全部の地域社会革新タスクフォースチーム長は「国民安全、地方時代、社会統合などの分野で政策を総合的に調整してきた省庁として、中央政府・地方政府・市民社会をつなぐ伝達体系を構築する能力がある」と強調し、社会連帯経済の活性化に貢献する意向を示した。

 また、韓国社会連帯経済は10月13日、尹昊重行政安全部長官と面談し、「社会連帯経済政策と予算の方向性は、統合的支援体系と専任組織の整備から出発すべきだ」と述べた。加えて基本法の制定・整備、自治体中心の伝達体系の構築、省庁間の調整機能の必要性を提案し、社会連帯経済を統括する主務官庁として行政安全部を正式に指定するよう要請した。

 行政安全部が主務官庁となることで、これまで各省庁に分散していた社会連帯経済政策は、「制度中心の効率モデル」から「地域基盤のガバナンスモデル」へと転換していくことが期待される。しかし、予算と税制の権限は依然として企画財政部にあり、雇用・福祉・創業分野の細部事業はそれぞれの省庁が主導しているため、どのような協働構造を構築するかが今後の焦点だ。さらに、政策の一元化が社会連帯経済の多様性を損なう「中央集権的構造」になるのではないかという懸念の声も出ている。

 社会連帯経済の活性化に向けて準備されている法と政策が、韓国社会の新たなオルタナティブとなるか否かは、今後、現場と自治体の意見がどれだけ集約され、実際の政策に反映されるかにかかっているだろう。

(全文)

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