「『米が足りない』のなぜ」を特集したのはなぜ?
前田和記(季刊『社会運動』編集長)
日本の農業人口は減少の一途を辿ってきました。農業予算の漸次縮小に伴う農政のブレによって、将来の営農・経営を安心して展望することができない。これが農業後継者が減り続けてきた大きな理由です。かねてから「猫の目農政」と揶揄されてきました。
今回の米不足・価格高騰騒ぎで農政はさらに迷走し、生産現場と市場は振り回され続けています。折しも本号は、石破前政権が2025年8月に増産方針を掲げ、従来の米政策からの大転換を謳ったさなかに取材を進めていました。従来の米政策とは、実質的に続いてきた減反政策です。需要に応じた生産によって、生産人口・生産量と価格の縮小均衡を招き続けてきました。
ところが本号編集中、高市政権の鈴木農相がこの方針をわずか3カ月でひっくり返しました。「需要に応じた生産」を再び原則とする、すなわち従来の米政策に戻すと。朝令暮改を立て続けに二度も繰り返す事態を表す言葉を知りません。半世紀前の某有名アニメの主人公のパパの決め台詞「反対の反対なのだ~」の他に…。増産による価格の再下落を警戒する生産者への急ごしらえの配慮とはいえ、食料・農業・農村基本法とその基本計画で高らかに掲げた「食料安全保障」との整合性についての説明は無く、生産人口・生産量と価格の縮小均衡のスパイラルから抜け出す道は見出せません。
十把一絡げで言うのはいささか乱暴ですが、この間のマスコミの報道のあり方もかなり問題でした。皆無に近かった農政・農業関係の報道から一転、「足りない!」「高い!」「“目詰まり”の犯人は?(農協バッシング)」との煽り系報道ばかりが目につきました。約20年前の郵政民営化騒ぎ当時の“小泉劇場”報道の再来ならぬ“小泉Jr劇場”のお祭り騒ぎに。“目詰まり”という誤説に囚われたため対策が後手となり世論をミスリードし、ようやく8月に誤説をひっそり撤回した農水省の姿勢も含め、モヤモヤ感が否めなかった読者も多かったのではないかと思います。
米を巡る近代日本の歴史も振り返ることで、今回の騒ぎの背景・理由と経過についてきちんと検証し、これからの農業・農政そして生活クラブをはじめとする生協など消費者と生産者間の「提携」のあり方を考えるための特集を組みました。この騒ぎは局面を変えつつも暫く続くはずです。これからの道を探るための一助となればと思います。
『韓国協同組合運動100年史』連続学習会報告を新たに連載します
市民セクター政策機構が2024年に発行した『韓国協同組合運動100年史』の普及活動および本書で扱われたテーマをより理解するための学びの機会として、2025年度より連続学習会を開催しています。
2025年は日本敗戦/朝鮮の植民地支配からの解放80年、および日韓基本条約締結60年の節目にあたりました。
韓国・朝鮮と日本の間の歴史的・現代的な課題に関することも取り上げていきます。
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