書評②『私たちは何を捨てているのか』 村山なみ
「もったいない」のその先を考えていく本
市民セクター政策機構理事 生活クラブ・埼玉理事長 村山なみ
2021年度から単協理事、2025年度から理事長、子どもの頃から食べている大好きな消費材を食べ続けるために、頼まれたら断れず、できることをやってみる。
この本を手に取ってまず、引用文献や、webからの引用がとても多いことに驚いた。社会の課題を考えるときに様々な事例を研究して書かれた本を読むことの大切さを改めて感じた。
はじめに、食品ロス(まだ食べられるのに捨てられている食べ物)のために失われている金額について述べられている。
日本では年間4兆円、世界全体では2・6兆ドルにものぼる。そして日本では、年間2兆1519億円もの税金が一般廃棄物の処理に使われ、その4割に当たる8000億円は生ごみの処理費用ではないかと推測されている。
食品ロスについて、家庭の冷蔵庫や食品棚の中の課題と捉えていた私にとっては、あまりにも大きい金額で、ピンとこなかった。たとえ国民の努力によって、税金が浮いたとしても、その分を防衛費の増大に回されたのでは意味がない。店頭に十分な在庫がないと、消費者は不安になるし、お店の側にしたらチャンスロス(ビジネスで、本来得られたはずの利益を得る機会を逃してしまうこと)になる。とても難しい問題で、解決は不可能にも思えた。
集めた情報も、貯め込むのではなく循環させたい
本書では食品ロスについて、コロナ禍やウクライナ侵攻、気候変動など、たくさんの事例をあげながら丁寧に解説している。そして、牛乳、米、卵など身近な食べ物や、賞味期限と消費期限、ごみ問題など、私たちの身近な話題を通して、徐々に、「捨てる」とは何かを、自分ごととして考えるようになる。
また、多くの先進的な事例も示されており、なかでも韓国やニューヨークの「スマートコンポスト(ソーラー発電で自動駆動する独立型の生ごみ処理機)」の活用については、日本でもぜひ、取り組んでもらいたい。
ここまでで、自分ごととして考えられるようにはなってきたが、視野を広げて考えると、食品ロスを出すということは、生産や輸送で温室効果ガスを排出してきた食品を無駄にし、生ごみの埋め立てや焼却の過程でも温室効果ガスを発生させるため、二重に気候危機に加担することになるという衝撃の事実にぶち当たる。
世界の食品ロスは年間13億トン。それは世界の食料生産の3分の1にあたる。人為的な温室効果ガスの3分の1は食料システムが排出源である。「食品を捨てる」ことが気候変動につながることがわかった。
著者のインタビュー記事の中に「集まる情報も、自分で集めたデータも、貯め込むんじゃなくて出して循環させたい」という言葉がある。この本を読んだ一人一人が何か行動してみたら、やがて大きな動きとなり、新しいデータになるだろう。
2年間、生活クラブ連合消費委員として生産者と会い、「生産者と約束した分を食べ切れていない」という課題と向き合ってきたために、組合員に利用を呼びかけると同時に、私自身も子どもが独立したにも関わらず、予約品目を増やし、注文を減らさないようにしてきた。しかしそのことで、おなかいっぱい食べすぎて、胃薬を飲むなんてことも、しばしば。胃薬の分、無駄なエネルギーを発生させているともいえる。
食品ロスの課題解決のために、私ができることは何か。
個人的には、冷蔵庫と食品棚の整理整頓。コンポストの購入もしたい。生活クラブの活動としては、埼玉の野菜の生産者とともに行っている、地産地消の野菜セットの利用をすすめる。大豆一粒運動(遺伝子組み換えでない大豆のトラスト運動)への参加者を増やす。そして、生活クラブの予約共同購入の良さをもっと多くの人に伝え、一緒に社会をより良くしていく仲間を増やしたい。
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