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沖縄を「敵基地攻撃」の拠点にするな
(季刊『社会運動』編集長 白井和宏)

【発売中】季刊『社会運動』2022年10月発行【448号】特集:青い海と沖縄 -未来を考える

 「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と扇動する岸田政権の下、日本政府は1000発以上もの長距離ミサイル導入を準備している。中国・北朝鮮の基地を攻撃するため、1000キロまで届く長距離ミサイルを南西諸島等に配備する計画だ。すでに与那国島、宮古島、石垣島、奄美大島では、自衛隊配備と基地開設が進められてきた。「中国を封じ込める」という日米共同の軍事戦略に基づき、台湾有事の際には中国への「攻撃基地」にしようというのだ。

 

沖縄を再び「捨て石」にしてはならない

 

 沖縄は日本本土より台湾に近い。沖縄本島から鹿児島までの距離は約650キロ、ところが与那国島(人口1625人)から台湾まではわずか111キロだ。南西諸島に長距離ミサイルを配備すれば攻撃基地と見なされて、有事の際には真っ先に攻撃される危険性がある。

 太平洋戦争では、沖縄の4人に1人が犠牲になった。一般住民が約9万4000人、沖縄出身の軍人・軍属が約2万8000人と、約12万2000人が死亡。沖縄は本土を守るための「捨て石」にされたのだ。

 

本土の市民も「共犯者」

 

 日本の歴代内閣は、軍事費を国内総生産(GDP)比でほぼ1パーセント以内に抑えてきた。ところが安倍内閣以降、7年連続で軍事費は増加され、2021年度予算は過去最大の5兆3422億円になった。さらにロシアによるウクライナ侵略を「好機」とする自民党は、軍事費をGDP比2パーセント以上、いまの2倍の11兆円を超えさせようとしている。国会を開かぬまま、大軍拡を進める自公政権の独裁ぶりは度を越している。

 ただし沖縄旅行は楽しみつつ、「基地問題は沖縄の問題」と傍観者を決め込んできた本土の市民にも責任があるはずだ。最近では、基地建設に反対する沖縄市民に対して「沖縄はもう日本じゃない」「琉球土人」「テロリスト」といったヘイトスピーチやデマが、SNS上に溢れている。沖縄の基地問題を深刻化させている共犯者は、日本本土の私たちだ。

(P.4-P.5 記事全文)

 

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