①「沖縄の塩、真塩を作り続ける」
沖縄地方の方言で、海水を潮「ウス」と言い、塩は真潮「マウス」が、変じて真塩「マース」と呼ぶ。㈱青い海創業者の知念隆一さんは著書『塩伝説』(ゆうエージェンシー1996)のなかに、「生命の起源として、海(塩)がある。沖縄を美と健康と自然塩、文化と共生、養生のメッカにする(中略)基地のない平和のためにも……」と記している。
沖縄で本格的な塩作りが始まったのは300年以上前のこと。干潟に海水を引き込んで、太陽と風で水分を蒸発させて濃縮し、濃い塩水にする。これを平釜に移し、薪で炊いて煮詰めて、塩の結晶を取り出す。このような塩田が泡瀬(現在の沖縄市)、豊見城(現在の豊見城市)、羽地(現在の名護市)、具志川(現在のうるま市)などに広がっていった。
現 在のように冷蔵・冷凍の技術が普及していない時代には、亜熱帯性気候の沖縄では、塩は食品の防腐・保存に欠かせなかった。塩が沖縄独自の食文化を育んできた。近年、豆腐や魚、塩豚、海藻などを使った伝統的な沖縄の食材・食事が長寿食として注目されている。ところが、アメリカ統治下にあった沖縄が日本に返還された時に、塩が変わったためそれらの食材が腐敗するなど、沖縄の全島で騒動となった。
(P.41 記事抜粋)